1級葬祭ディレクターが教える「書けるエンディングノート」

エンディングノートは買ってはみたけど何を書いたら良いか分からない

エンディングノートに興味はあるけれども何をするのか分からない

エンディングノートの書き方を知りたいけど誰に聞けば良いか分からない

 

これを読んでるあなたもエンディングノートを書こうと手に取った今、同じような思いをしているのではないでしょうか?

一般的にエンディングノートとは「お葬式の準備」や「遺言」と捉えている方が多いのですが、本来はこれまでの人生の棚卸をして、これからの人生をより良く生きるために使うノートです。今では50代や60代の方だけではなく、20代や30代からエンディングノートを書く人も多くなっているのはそのためです。

しかし、エンディングノートを必要だと思う人は全体の90.1%に対し、書いている人は9.9%。必要だと分かっていながらほとんどの人が書けていないのが実情です。

ではなぜ書けないのでしょうか?今回はエンディングノートが書けない理由と、必ず書けるようになるために必要なたった1つことをお伝えします。これさえできれば「エンディングノートが書けない」悩みとはさようならです!

 

目次

1.エンディングノートに書く3つのこと

2.エンディングノートの筆が進まない3つの理由(3つの満足)

3.エンディングノートを書くために必要なたった1つのこと

4.まとめ

 

1.エンディングノートに書く3つのこと

エンディングノートは人生の棚卸をして、これからをより良く生きていくために活用する1つのツールです。そんなエンディングノートには①自分のこと②財産のこと③供養のことの大きく3つの要素があります。これからこの3つの要素について説明をして行きます。

①自分のこと

「自分のこと」とは、あなたの「プロフィール」のことです。氏名、本籍、住所、生年月日、出身校、職歴、親戚関係、趣味や嗜好品などがこの項目になります。特に氏名や本籍、住所は簡単なようで注意が必要です。「高橋」の「高」が「髙」のように旧字を使う人がいたり、住所を転々としている人がいたり、意外と自分の本籍を知らなかったり自分のことでも知らないことがあります。遺った人は更に分からないので、自分のことは自分で残しておかないといけませんね。   

 

②財産のこと

文字通り「遺産」「相続」に関わることです。預金口座、不動産、株式、保険、会員権、年金、ローン、負債などお金に関わる内容です。お金に関わることは考えるのも面倒くさいですよね。口座でも預金口座や証券口座がそれぞれいくつもあったり、最近ではデジタル資産に関わるものもあります。特にスマホの中の情報は必要なものもありますが、死んでも見られたくないものもありますよね。だからこそ整理が必要なんです。

 

③供養のこと

亡くなる前後のことです。介護が必要になった時、葬儀のこと、お墓や仏壇のこと、お骨のこと、遺品のことなどです。主に自分の意志が伝えられなくなった状態の時にどうして欲しいかを事前にまとめておく部分です。判断力や認知能力が落ちた時に介護についてどのようにして欲しいか、亡くなった後にはどんな葬儀にして欲しいかなど他人に判断をお願いしなければならなくなった時に決めてもらいやすいように意志を残しておく部分です。

 

2.エンディングノートの筆が進まない3つの理由(3つの満足)

①購入して満足

②中身を見て満足

③棚にしまって満足

エンディングノートをせっかく買ったのに書けない理由は3つ。①購入して満足②中身を見て満足③棚にしまって満足の3つの満足を満たしてしまうことで書いた気になってしまうことが大きな原因です。これでは何冊買っても同じことを繰り返してしまいます。あなたの書けなかった理由を振り返ることが書き始めるための第一歩です!

 

①購入して満足

エンディングノートはネットでも購入できますし、書店でも様々なものが並んでいます。また、関連する専門家・専門業者や自治体が無料で配っているものもあります。高いものは数万円の鍵付きのノートまであります。無料のものは手軽に手に入るからこそ、高価なものは高い買い物だからこそ、その時点で満足して本来の「書く」という目的が忘れ去られてしまうのです。

 

②中身を見て満足

エンディングノートに書く項目は沢山あります。自分のプロフィールや資産やスマホ情報、葬儀のことやお墓や仏壇、ペット、家族への思いなど多岐に渡ります。エンディングノートの講座が終わってから「あぁ、なるほど、こういうものか」と満足して帰られる方も多いのです。そして次に参加した時に尋ねると、悲しいことにほとんどが皆さん書いていません。中身を知ったことで安心してしまうのです。

 

③棚にしまって満足

私が開催したエンディングノートの講座は多い時で年間15回。参加者は各20名程です。開催のたびに無料でエンディングノートを渡して来ました。参加者の中には何度も来ている人も多いのですが、その人たちと話していると「この前もらったのは家にある」と言うんです。家に持って帰って片付けてしまって満足。また同じノートを持って帰っていました。これを読んでいるあなたの手元にも眠ったエンディングノートが何冊もありませんか?

 

今、あなたがエンディングノートを書けない理由はどれにあてはまりますか?

 

3.エンディングノートを書き始めるたった1つの方法

これまでエンディングノートを書けなかった人も「エンディングノートを書くために必要なたった1つのこと」をするだけで必ず書き始めることができます。それがこれです。

 

エンディングノートを手にしたらすぐに自分の名前を書く!

 

どこのエンディングノートの講座でもエンディングノートの書き方について「書ける時に書ける所から書く」と説明しています。私もセミナーや講座で説明して来ました。でも皆さん書けません、、、いや書きません。何度も聞きに来ているのにです。

 

「預金口座なんで通帳を探さないとどこにあるか分からない」

「介護のことなんて良く分からない」

「お墓や仏壇なんて家族と話さないと決められない」

 

こうやって複雑に考えている内に「取りあえず書く内容は分かった。書く気になった時に書こう」と思いながらまた一冊棚に並べられているのです。

 

そこで、私の講座ではその場で「自分のこと」のページを書いてもらうことにしました。

すると、高齢の方でもすらすらと書くことができるようになり、次回以降は書き始めたノートを持参して参加してくれるようになったのです。

 

だからまずは自分の名前を正しく書きましょう。エンディングノートを書くタイミングの「書ける時」は「手にした時」、「書ける所」は「自分のこと」という訳です。

 

普通に書いている名前も意外と知らないことが多いものです。自分の名前が戸籍と違っている人も沢山います。

先ほどの「高」だけではありません。「辺」も「邊」「邉」、しんにょうが点が一つ、二つなど10種類以上あります。死亡診断書には本籍地を記入しますが、本籍を知らない人もいます。転々としていた住所も正確に知らないと相続手続きに手間取ります。結構重要なんです。思い当たる人は戸籍を見てみてください。コンビニでも出せますからね。そのついでに本籍、住所も確認して「自分のこと」に書いてしまいましょう!

 

学校のテストと同じ「名前は最初に書く」、そして「できる問題から解いていく」です。

 

4.まとめ

エンディングノートは全て埋めるものでも、一度で全て書き上げるものでもありません。でも書かないと進みません。そのためは、エンディングノートが自分の手元に来たら「自分のこと」から書き始めましょう。

多くの人は一度に全部埋めきろうとするので手が止まってしまいます。日本人の気質かもしれません。私も何冊か買いましたが、買ったことに満足して気付けば5冊も持っていました。

エンディングノートの書き方で悩んでいては書かないままで終わってしまいます。あなたは自分のために、家族のために、大切な人のために自分の思いを残しておこうとエンディングノートを手にしたはずです。自分の名前を気持ちを込めて書いてみてください。その筆跡や筆圧、それだけでもあなたの想いが充分に伝わる世界に一つの立派なエンディングノートです。

 

執筆者:一級葬祭ディレクター 丹尾宏司

葬祭の現場で1級葬祭ディレクターとして1500件以上の葬儀に関わる。また、安心した旅立ちを届ける復元納棺師の側面も持つ。人の人生を締めくくる儀式に携わって来たからこそ知る知識を葬祭セミナー、エンディングノート講座、遺体処置セミナーなどで発信している。

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